雑音を含むパターンの高精度認識
統計的識別理論では、クラスごとに多くのデータを収集して特徴を求め、特徴の確率分布を求めてこれを元に認識します。未知の観測パターンから特徴を求め、それが各クラスに属する確率を計算し、最も確率の高いクラスが一番もっともらしいクラスであると判断します。
観測パターンに雑音が含まれる場合、特徴の分布形状は雑音によって変化すると考えられます。従来法では、識別に利用する確率分布はその分布形状の変化にかかわらず同じものを使用していたため、雑音が含まれたデータを高精度に認識することは難しかったのです。これに対し、特徴ベクトルの一部の要素に雑音が加わった場合に分布形状がどのように変化するのかを考察し、その変化を反映させて確率分布を変更する手法を考案しました。本手法は従来の統計的な手法を補うもので、雑音を含むデータに対して高い識別能力をもつだけでなく、雑音が含まれないデータに対する悪影響がないという特徴があります。

関連文献
- A Noise-Adaptive Discriminant Function and Its Application to Blurred Machine-Printed
Kanji Recognition
IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence, vol.22,
no.3, pp.314-319, March 2000
Shin'ichiro Omachi, Fang Sun, and Hirotomo Aso
- A Discriminant Function for Noisy Pattern Recognition
Proceedings of The 11th Scandinavian Conference on Image Analysis (SCIA'99),
pp.793-800, June 1999
Shin'ichiro Omachi, Fang Sun, and Hirotomo Aso
- 雑音による分布形状の変化を反映した識別関数と低品質文字認識への適用
電子情報通信学会技術研究報告, PRMU97-226, February 1998
大町真一郎, 孫 方, 阿曽弘具